
江戸甲冑師
経済産業大臣指定 伝統的工芸品 江戸節句人形
伝統工芸士
初代 加藤 峻厳

鎧兜は、総合芸術。
それをぜんぶ、自分ひとりで
つくらなければならない。
だからいま甲冑師なんて、
ほとんどいないです。

甲冑(かっちゅう)師というのは、あらゆる仕事をするんです。金(かね)や革の加工から箔押し、漆。一通り鎧(よろい)の仕事を覚えて、一領(いちりょう)分の仕事ができるようになるまでには、最低でも十五年。二十年や二十五年は当たり前ですね。
だからいま甲冑師なんていないです、ほとんど。

源平時代や南北朝時代なんかすごい鎧ばっかりですよ。それはだけど分業なんです、みんな。漆塗り、小札(こざね)、縅(おど)し、金物師…。
なかでも大事なのが鍬形(くわがた)。鍬形は総大将しかつけないです。銅板を鏨(たがね)で切って、ヤスリを掛けて、長い鍬形を安定させるため、先は薄く叩き延ばしてある。どこを見ても手間がかかる。だからこそ、美しく仕上げる。